概略
 バンド・愛奴のドラムとしてデビューした浜省。フォーク調の楽曲を初期にはリリースしていたが、ロックにも傾倒。味わい深いボーカルや批判的かつ熱い歌詞でファンを獲得。セールス的にはあまりふるっていないものの90年代には「悲しみは雪のように」でミリオンヒットを達成するなど知名度を上げた。今回は80年代までのシングルを振り返る。


シングルレビュー(以下、歌詞の引用元は各シングル記載の歌詞カードから、引用部分は""にて本文と区別する)


1st 路地裏の少年
作詞・作曲・編曲:浜田省吾    1976年4月21日発売 売上 不明
92601

路地裏の少年(single / 1976)  ※2ndシングルとの両A面形式での再発盤のリンク

 デビューシングル。 デビューアルバム「生まれたところを遠く離れて」と同時発売された。カップリング曲「壁にむかって」ともアルバムに収録されているが、両曲ともバージョンが異なっている(調を含めて違いが大きい)。後にCD化されたものの「路地裏の少年」と次作「愛のかけひき」との両A面形態だったため「壁にむかって」のシングルバージョンは未CD化となる。またそれより前にアルバム「J.BOY」の先行シングルとして12インチシングルで別バージョンが発売された(これも未CD化でアルバム版と異なる)。曲の長さが異なり、当初のシングル、アルバムでは "おれ18" 部分で終わり、それぞれ4分強と5分少々、12インチ版は "おれ22" で終わり8分台になっている("FULL VERSION" と銘打たれ、完全版になっている)。売上は振るわなかったものの代表曲の一つとして数えられる1曲。
 歌詞は本人のことを歌っていて、"おれ16" "おれ18" など時系列で進んでいく("横浜" も本人が当時居住していた場所)。"遠い空を憧れてた"  "狭い部屋で仲間と夢描いた" など若い頃の、未来を夢見る時代が鮮やかに書かれている。 "覚えたての「風に吹かれて」" はボブ・ディランの楽曲か。間奏でも演奏されている "ハーモニカ" が歌詞にも登場している。"いつかはこの国 目を覚ます" と早くも社会を意識した詞が登場しているのも注目すべきポイント。
 PVは見たことがない(以下の動画はシングル盤と異なります)。ジャケットはデビューアルバムと同じデザインで、タイトル部分が少々変わっている。再発盤は新たなジャケットになり、また再発盤の表紙には「A BOY ON THE BACKSTREET」と英題が表記されている。